イラク国政府は同国の主要原油出荷インフラであるバスラ海上原油輸出ターミナルの能力を2015年までに450万バレル/日に増強することを目標に、老朽化した既設原油輸出ターミナルの復旧プロジェクトを推進し、これらのプロジェクトの完成により同原油輸出ターミナルは世界でも有数の大型原油出荷ターミナルのひとつになります。そして、このような原油出荷設備の増強に伴い、同ターミナルの操業における関連船舶の衝突、設備の火災、爆発などの事故と共に、油流出事故のリスクの増加が予想されます。
本プロジェクトは、同設備の運転に伴う油流出事故に対する適切な備えとして、事故防止と共に、予想される事故発生時の環境・社会影響の最小化と有効な被害の復旧を目的とした油流出事故対応計画(Oil Spill Response Plan : OSRP)を構築するものです。そして、本プロジェクトはJICAの案件実施支援調査(SAPI)として、JICA専門家チーム(JOE)、イラクの石油省、国営石油会社、環境省、運輸省港湾局等の各関連機関の調査チームと合同で、以下の3つのフェーズで実施しました。
フェーズ1
● 同ターミナル及び周辺海域での油流出事故のリスク評価
● 油流出事故発生時の流出油の拡散予測及び近隣諸国を含む沿岸地域の環境・社会影響評価
● 緊急対応方針、実施体制・組織、戦略等を示した油流出事故基本計画(Basic OSRP)の作成
フェーズ2
● Basic OSRPに基づく地域油流出対応計画(Terminal OSRP)の作成
● 既存及び新設Al Basrah Oil Terminal(ABOT)の小規模油流出事故を対象とした油流出対応計画(ABOT Tier 1 OSRP)案の作成
● 油流出事故対応の教育、訓練(IMO Level 2等)
フェーズ3
● Al Basrah Oil Terminal油流出対応計画(ABOT Tier 1 OSRP)の作成
● 油流出対応作業マニュアルの作成(流出油防除、動員、廃棄物、作業安全等)
● 油流出事故対応の教育、訓練(Table-top Exercise、IMO Level 1, 2)
● 流出油防除資機材の調達計画の作成
(本プロジェクトは、JICAの案件実施支援調査(Special Assistance for Project Implementation:SAPI、JICAとの契約期間:フェーズ1:2010年8月 ~2011年3月、フェーズ2:2011年7月~2012年3月、フェーズ3:2012年10月~2013年3月)を弊社がコンサルタントとして受託・実施したものです。)
Copyright© Japan Oil Engineering Company Ltd. (JOE), All Rights Reserved