イランにおいては逼迫する電力需要及び温室効果ガス排出削減への対応が喫緊の課題であり、同国の重要産業の一つである石油化学工業では多大なエネルギーを消費します。
特に水銀法苛性ソーダ・塩素の電解製造はそのプロセスにおいて大量の電力を消費することから、省エネルギー、かつ環境負荷削減を実現するイオン交換膜法の導入が求められています。
加えて、イランは「水銀に関する水俣条約(水俣条約)」に署名しており、同条約の第5条では、2025年までに苛性ソーダ・塩素製造工程における水銀利用の禁止が規定されています。
このような状況を踏まえ、本調査では水銀法からの製法転換を図るイランの苛性ソーダ・塩素製造事業者を対象として、日本のメーカーの高効率イオン交換膜電解システムの導入可能性を検討しました。
本調査において弊社は主に以下の業務を実施しました。
· 現地関係者との調整
· 環境社会面の調査・検討
· イラン石油化学産業の調査
· 相手国実施機関の調査
水俣条約の発効後は、水銀廃棄物の適正管理が益々求められます。弊社は今後、上記の水銀法苛性ソーダ・塩素製造プロセス由来の水銀廃棄物を含む石油産業全体の水銀廃棄物の適正管理に貢献していきたいと考えています。
(本調査は、経済産業省の「平成28年度質の高いエネルギーインフラシステム海外展開促進事業(円借款・民活インフラ案件形成等調査)」の一環として、幹事法人である兼松株式会社、共同実施法人である旭硝子株式会社及び弊社が共同で受託・実施したものです。)
Copyright© Japan Oil Engineering Company Ltd. (JOE), All Rights Reserved